チェック!誤り易い確定申告の内容
2013.03【事務所発信03】
本年の確定申告も期限まであと2週間となりましたが、申告書の作成・提出は終わりましたか?
さて、確定申告書を作成する時において注意しなければいけない事項がそれぞれの内容に応じていくつもあり、 自分では正しいと思っていても実は間違った内容の申告書を作成してしまい、しばらく経ってから税務署からの呼び出しを受け、 修正申告をしなければならないこととなるケースが多々見受けられます。
今回は所得税の確定申告において、誤り易い内容の一部を税額に大きな影響を及ぼす住宅借入金等特別控除関係を中心にご紹介させていただく事としましたので、ご参考ください。
尚、ご紹介させていただくのは ほんの一例にすぎませんので、詳しい内容については個別にご相談ください。
1、財産分与による住宅の住宅借入金等特別控除
- 離婚に伴う財産分与で前夫所有の住宅を取得しましたが、住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできますか?居住要件等その他の要件は満たしています。 A:受けられます。
取得した住宅は前夫からの贈与ではなく財産分与により取得したもので、既に離婚していることから生計を一にする親族等から既存住宅を取得したわけではありませんので、
居住要件等その他の要件を満たしていれば、住宅借入金等特別控除を受けることができます。
なお、財産分与により取得した家屋が既に住宅借入金等特別控除の適用をうけている共有家屋の持ち分である場合には、当初から保有していた共有部分と
追加取得した共有部分(既存家屋の取得となる。)のいずれについても住宅借入金等特別控除を受けることができます。
2、父子による土地付き家屋購入の借入金の住宅借入金等特別控除
- 土地の所有者を父、家屋の所有者を子として土地付き家屋を購入した場合、それぞれに住宅借入金等特別控除の適応を受けることはできますか? A:受けられません。
住宅借入金等特別控除の対象となる借入金は、家屋の購入とともにするその家屋の敷地に要する資金に充てるための借入金とされることから、 父は、土地購入の借入金しか有していないため、住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできません。
3、借入金の契約変更後の住宅借入金等特別控除
- 夫婦共有の家屋を妻単独名義(夫は連帯保証人)の借入金4,000万円で購入した翌年以降に、借入金の契約を変更して妻名義2,000万円、夫名義2,000万円の 借入金に変更した場合、変更の年以後の年分について夫も住宅借入金等特別控除の適用を受けることができますか? A:受けられません。
住宅借入金等特別控除は政令で定める家屋を取得等して、取得等に係る借入金等を有していることが要件とされています。
ご質問の場合、夫は連帯保証人にすぎず、家屋の取得時に借入金等を有していない。
したがって、その後、夫名義の借入金が発生したとしても、その借入金は新たに生じた債務であり、家屋の取得等のための借入金を借り換えるものには当たらないため、
住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできません。
なお、当初の借入れが妻単独の借入れではなく、妻と夫の連帯債務である場合には、夫も住宅借入金等特別控除の適用を受けることができます。
4、海外赴任中の住宅借入金等特別控除
- 昨年住宅を取得して住宅借入金等特別控除の適用を受けている公務員が、2年間の予定で海外派遣された場合、派遣後も配偶者及び子供が引き続きその住宅に居住する場合、 住宅借入金等特別控除の適用を受けることができますか? A:受けられます。
公務員は、出国により国内に住所を有しない場合であっても、国内に住所を有するものとみなされ、居住者に該当します。
ご質問のように、家族が引き続き居住の用に供するなど一定の要件を満たすときには住宅借入金等特別控除の適用を受けることができます。
なお、公務員以外の者においては、海外赴任期間中は非居住者となることから適用を受けることができません。
5、申請申告時の電子証明書等特別控除の追加適用
- 平成24年分の確定申告で電子証明書等特別控除1,000円の適用を受けた。
期限後に誤りが発覚し、税額が増加したが、電子証明書等特別控除の限度額までの残り2,000円を追加して控除することができますか?
A:できます。
平成23年分以後は、控除額を当初申告額に限る旨の規定が廃止されたため、修正申告等により控除額を増加することができます。
但し、平成22年分以前の所得税については、修正・更正等により税額が増加することとなっても、控除額は当初申告の額が限度となります。
6、復興特別所得税を含めた予定納税基準額
- 平成24年分の確定申告において、予定納税基準額が147,000円となった者に対して、平成25年分の予定納税は不要ですか? A:予定納税は必要です。
復興特別所得税が創設されたことに伴い、平成25年から平成49年までの年分の所得税の予定納税基準額及びその予定納税基準額に100分の2.1を乗じた金額の合計が15万以上
である者は、予定納税に併せて、復興特別所得税を国に納付しなければなりません。
したがって、予定納税基準額147,000円に100分の2.1を乗じた金額は150,087円となり、15万円以上となるため、予定納税が必要となります。
なお、予定納税基準額が146,900円までは、予定納税は不要となります。