税制改正の注意点①
2014.02【事務所発信04】
安倍内閣が発足して早一年と数か月が経過し、「社会保障と税の一体改革」の名のもとに税制が大きく変わろうとしています。
相続税を中心に所得税や法人税がこれだけ広い範囲で改正されることは近年では例をみないところです。
税を専門とする税理士においても、改正内容を熟知し、個々のお客様のニーズに答えるべく適切なアドバイスを行う際には、これまで以上に 丁寧にそして慎重に対処しなければならないことを痛感しているところです。
そこで今回は、最近の税制改正事項で特に留意しなければならない事項をまとめましたので参考にしていただければ幸いです。
1、消費税率アップに伴う住宅借入金等特別控除制度の留意点
消費税が本年(2014年)4月1日から8%に引き上げられることとなっています。
消費税がアップすることから、一般の方なら一生に一度の大きな買い物であるマイホームの購入を消費税アップ前に済ませておきたいと思う心情は良く理解できます。
しかしながら、ちょっと待ってください。
住宅購入資金を自己資金ですべて賄える方は当然、消費税が8%より5%の方が税負担が軽いわけですから、問題ないのですが、 住宅取得資金の一部を金融機関等から借り入れる方で、租税特別措置法の「住宅借入金等特別控除」の適用が受けられる方については、 消費税率の引き上げと同時に「住宅借入金等特別控除」制度が拡充されていることを忘れないようにしてください。
「住宅借入金等特別控除」制度の拡充内容及び具体的なメリットについては次のとおりです。
拡充内容
消費税率引き上げに伴う一時の税負担の増加による影響を平準化するため、消費税率8%の適用を受け取得した一般住宅については、
税額控除の対象となる借入金の限度額が従来の2,000万円から4,000万円に、税額控除限度額も従来の20万円から40万円に引き上げられることとなっています。
(認定住宅についても限度額は異なりますが税額控除が拡充されています。)
また、国税(所得税)で控除されなかった部分については、翌年の地方税(住民税)から控除することが可能となりました。
(税額計算などの比較)
4,500万円の住宅を取得し4,000万円の住宅ローンを組んだ場合
- ケース1(平成26年2月に消費税率5%の適用を受けた場合)
- ○所得税軽減額 2,000万円 × 1% × 10年 = 200万円
- ○消費税負担額 4,500万円 × 5% = 225万円
- ○税額の通算 225万円 - 200万円 = 25万円
- ケース2(平成26年5月に消費税率8%の適用を受けた場合)
- ○所得税軽減額 4,000万円 × 1% × 10年 = 400万円
- ○消費税負担額 4,500万円 × 8% = 360万円
- ○税額の通算 360万円 - 400万円 = △ 40万円
(対象借入額の限度額)×(税額控除割合)×(控除期間)= (税額控除累計額)
(住宅価格) ×(消費税率)= (消費税額)
(対象借入額の限度額)×(税額控除割合)×(控除期間)= (税額控除累計額)
(住宅価格) ×(消費税率)= (消費税額)
個人住民税などの地方税については考慮していませんが、国税のみを比較してみても、取り扱う時期により税額に大きな差が生じます。
前段で記述のとおり、景気浮揚策として様々な経済政策(税制改正)が行われている昨今、税制改正の動向に常にアンテナを張り、 正しい知識の下に節税することが当事務所の使命であると考えております。
税制改正事項などでご不明な点がございましたら、当事務所までご連絡ください。